忙しそうなみなさまに代わりまして,時間の有り余っている僕が「近松物語 [DVD]」を調査しました。
近松物語 [DVD]発売元: 角川エンタテインメント
発売日: 2007-09-28
出演者: 長谷川一夫.香川京子.南田洋子.進藤英太郎.小沢栄
監督: 溝口健二
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購入者の評価 (平均評価 : 5点中4.5点)
・最も愛する溝口作品
・とにかく、香川京子につきる
・徹底的な演出の先のリアルなもの
・香川京子を見よ!!
・守ってあげたい
全てのカスタマーレビュー定価:
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購入者の評価最も愛する溝口作品5点中5点
本当は、復刻パンフレット付きの、溝口BOX2が欲しかったのであるけれど、それだけの為に買うには手が出ず、こちらの単品を購入した。
溝口作品はBOX1やTV放映された作品を所持しているけれど、この『近松物語』の再生回数が断トツで多い。長谷川一夫の配役だけが残念でならないが、映画も商売だから諦めざるを得ないとして、香川京子を筆頭に他の俳優は完璧以上の人選。
それに加え、撮影、美術、そして衣装の素晴らしさと言ったら・・・。「極上」である。
浄瑠璃、歌舞伎、漫画、と、色々観たけれど、この映画ほど近松作品(原作)のもつ魅力を引き出したものは皆無であったことを明記しておきたい(この映画のシナリオは、原作をそれなりに脚色してあります)。
悲劇こそ、人間の本質を浮き彫りにする形式は無いのだということを、まざまざと見せ付けてくれる、至高の名品。
とにかく、香川京子につきる5点中5点
本作における香川京子と、本作以外での彼女は別ものとして考えなければならない。本作での香川は、最初から最後まで、陰獣さながらのエロティシズムを放っており、素晴らしいことこの上ない。
間違いなく、彼女のベスト・ワーク!
徹底的な演出の先のリアルなもの5点中5点
他の溝口作品同様、絶対的な悲劇の強度と絵画的な美しさに溢れた映画。近松の原作はこの映画よりもっと淡白な話で短い。登場人物の内面をこってり描いた近代小説に慣れた僕は、初めて近松作品を読んだとき、そのあっさり感に面食らってしまったのを覚えているが、実際の死や事件というものは傍から見ると彼が描いたように唐突でコロンとしたものでもある。そこに死が身近だった江戸時代のリアリティがあるような気が最近はしている。
溝口作品の演出上の特色としては、絵画的な美しさが至上命題となるため、役者の表情や台詞回しに頼るTV時代の「首から上中心の演技」よりは、寧ろ身体全体を使ったダイナミックな動きやビジュアルが優先されている点が挙げられる。(二枚目俳優としての自負から「首から上」の芝居に拘った長谷川一夫と溝口が衝突するのは必然であった。)このため登場人物への感情移入よりも、目の前で展開する映像世界の像とスピードに観る者の意識は惹き付けられる。この受身感というのは、実は上記のような江戸のリアリティに通底するものだ。徹底的に演出された溝口作品のもつリアリズムというのは、こういうところにあるのだと思う。
それにしても、この映像の美しさとは全く対照的な、ショボいDVDジャケのデザインはどうにかならんものか。
香川京子を見よ!!5点中5点
かつて大映に森一生という映画監督がいた。手堅い職人技に支えられた燻し銀の個性を持った監督で、昭和20年代から30年代の大映の全盛期を支えた。大映の倒産後はフリーとなり、もっぱらTVドラマで活躍するも、約10年前に亡くなった。
森一生は戦前の第一映画時代から溝口と面識があり、可愛がられてもいたそうである。その森が溝口の現場を見学に行ったときのことを語っている。それによると、なんと溝口の現場は一日にワンカットしか撮らなかったという。すなわち午前中はセットを組み上げることに費やされ、午後はそのセットを使ってキャメラ、照明及び録音のリハが繰り返される。役者さんがセットに入って本番開始は夜になってから。しかも一回でOKがでるはずもなく、役者たちは溝口に罵倒されながら、撮影は延々と深夜におよぶという次第である。
なんで溝口の現場はそんなに手間隙がかかるのか?いうまでもなく「ワンシーン・ワンカット」撮影のせいで、ひとつひとつのカットが長いためである。つまり溝口の作品はその撮影技法の特殊性ゆえに他の監督の映画よりは、制作費が余計にかかるようになっているのだ。大映の社長永田雅一はそんな溝口を特別待遇し、他方で森をはじめとする若い監督たちをコキ使って興行的に当たる作品を早撮りをさせて帳尻を合わせていたのだろう。当時の映画全盛期の大映だからできたことであって、一本一本を必ずヒットさせなければならない現在の厳しい映画界では、溝口のような存在は許されない。
前置きが長くなったが、そういうことを頭のすみにいれてこの作品に接するとよりいっそう楽しめます。水谷浩による大経師の屋敷の恐るべきセット、そしてその屋敷や店内を自在に動き回る宮川一夫のキャメラ、さらに役者たちの凄まじいまでの演技を堪能されたし。とくに香川京子!!現在でも彼女は現役の女優で、おっとりとしたイメージがあるのだがこの作品の女優魂は最高ですね。ちなみに「山椒大夫」も最高だった。あの黒澤明も「彼女はミゾさんのとこで鍛えられているから」と、うるさいことを言わなかったそうである。進藤栄太郎や小沢栄太郎も相変わらず絶妙の演技。長谷川一夫?彼についてはノーコメントということにしておいて下さい・・・。くどいようですが、これも今じゃ絶対に作れない映画です。必見。
守ってあげたい5点中4点
近松門左衛門の『大経師昔暦』に登場するおさん・茂兵衛の悲恋物語を脚色した作品で、タイトルが似ている秋元松代の『近松心中物語』とは全く関連性がない。
物語が盛り上がる場面では拍子木が打ち鳴らされ、逃亡中の身でありながらおさんに豪華な着物を次々と着せ替えさせるところなどは、歌舞伎を意識したケレン味のある溝口らしい演出だ。
男に頼らなければ生きていけない、いいとこの出の淑女おさんを香川京子が好演している。駆け落ちの相手を一人残して立ち去ろうとする茂兵衛(長谷川一夫)を追いかけるおさん。くじいた足を引きずりながら道に倒れこむか弱いおさんの姿を見たら、男ならば誰しも「守ってあげたい」と思うだろう。
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